タナゴ

タナゴ(?)<魚へんに與>は、コイ目・コイ科・タナゴ亜科(Acheilognathinae)

分類される魚の総称。オスに鮮やかな婚姻色が出ることと、二枚貝の体内に産卵する習性が知られた淡水魚のグループである。日本ではAcheilognathus melanogaster に「タナゴ」(マタナゴ)の和名が当てられているが、他にも多くの種がある。

なお、海水魚のウミタナゴ Ditrema temmincki も釣り人の間では「タナゴ」と呼ばれるが、こちらはスズキ目・ベラ亜目・ウミタナゴ科に分類され、タナゴとは全く別の魚である。

タナゴ亜科 Acheilognathinae

スイゲンゼニタナゴ
Rhodeus atremius suigensis
分類
界:
動物界 Animalia
門:
脊索動物門 Chordata
亜門:
脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱:
魚上綱 Pisciformes
綱:
硬骨魚綱 Osteichthyes
目:
コイ目 Cypriniformes
科:
コイ科 Cyprinidae
亜科:
タナゴ亜科 Acheilognathinae
下位分類
本文参照
英名
Bitterling

概要

日本を含むユーラシア大陸に広く分布し、5属40種ほどが知られる。特に日本、朝鮮半島、中国などの東アジアは種類が多い。

  • タナゴ属 Acheilognathus – タナゴ、カネヒラ、イタセンパラ、イチモンジタナゴ、シロヒレタビラ、ゼニタナゴ、オオタナゴなど
  • アブラボテ属 Tanakia – アブラボテ、ヤリタナゴ、ミヤコタナゴ
  • バラタナゴ属 Rhodeus – バラタナゴ(ニッポンバラタナゴ、タイリクバラタナゴ)、カゼトゲタナゴ、スイゲンゼニタナゴなど
  • Acanthorhodeus
  • Paracheilognathus

日本には3属16種が分布するが、このうちタイリクバラタナゴとオオタナゴの2種類は中国などから移入した外来種である。

体はフナのような体型で、左右から押しつぶされたように平たく、体高が高い。種類によっては口元にコイのような2本のひげをもつものもいる。全長はいずれも数cm-10cm程度で、メダカとフナの中間くらいだが、オオタナゴやカネヒラ、イタセンパラなど10cmを超える種類もいる。同じ種類内ではオスがメスより大きい。

川やその周辺の湧水、用水路、溜池などの淡水域に生息する。食性は雑食性で、藻類、水草、プランクトン、小型の水生昆虫、魚卵など、いろいろなものを食べる。

 

繁殖行動

タナゴ類は全ての種類がカラスガイやドブガイ、マツカサガイなどイシガイ科の淡水性大型二枚貝類に産卵し、孵化した稚魚もしばらく二枚貝の体内で生活するのが特徴である。他には同じコイ科のヒガイ類も二枚貝の中に産卵することが知られている。

春や初夏に繁殖するものが多いが、カネヒラやイタセンパラなどは秋に繁殖する。繁殖期のオスは光沢のある鮮やかな婚姻色を発現し、頭部に追星(おいぼし)ができる。一方、メスに目立つ婚姻色は出ないが、産卵管が細長く伸びる。

 

オスは条件の良い二枚貝をめぐって争うこともある。つがいができると、オスとメスは二枚貝の上にやってくる。まずはメスが二枚貝の出水管に素早く産卵管を差しこみ、二枚貝の外套腔内に数個から十数個の卵を産みつける。このとき、メスは産卵管を先端から出水管に挿入するのではなく、柔軟な産卵管の付け根を出水間の出口にあてがい、体内から体液とともに卵の塊を押し出すと、産卵管は内部を通過する卵と体液の圧力でしなって付け根から貝の体内に飛び込み、貝の鰓の間に卵を導く。メスが飛び退くと今度はオスが素早く二枚貝の上にやってきて、二枚貝の入水管付近に放精する。

 

タナゴ類の卵は直径数mmほどの楕円形で、コイ科魚類の中では大粒の部類に入る。卵は二枚貝の体内で受精し、稚魚は数日のうちに孵化するが、孵化後も1ヶ月、種類によっては半年ほども二枚貝の体内に留まり、卵黄を吸収しながら成長する。この間、多くの種では卵黄嚢にさまざまな形の突起が発達し、稚魚が貝の鰓の間に留まるのを助ける。卵黄を吸収して貝から飛び出す頃には、稚魚は全長1cm近くまで成長している。

 

タナゴ類の宿主となるイシガイ科の二枚貝類には、魚類の鰓や鰭に付着するグロキディウム(Glochidium)という幼生期がある。この時期は淡水魚各種のひれなどに殻にある牙で食いついて皮膚の中に潜り込み、場合によっては養分を摂取しながら長期間寄生して、親貝から離れた場所に分布を広げている。このときにタナゴ類もグロキディウム幼生の宿主となるとする著書を見かけることも多いが、実際にはタナゴ類が宿主となることはほとんどなく、日本産のイシガイ類ではヨシノボリやオイカワなどを宿主とするものが多い。そのため、タナゴ類の保護のためにはイシガイ科の二枚貝だけでなく、グロキディウム幼生の宿主となる他の魚の保護も必須といえる。

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