日本のタナゴ類

タナゴ類はモツゴ、モロコ、フナなどと共に見られる淡水魚の一つで、地域ごとにさまざまな種類がある。

タナゴ類はモツゴ、モロコ、フナなどと共に見られる淡水魚の一つで、地域ごとにさまざまな種類がある。

 

タナゴやヤリタナゴなど、比較的数の多い種類は食用として漁獲されている。他の小魚と共に釣りや網、セルビンなどで漁獲し、佃煮や甘露煮などで食用にする。食べ物としての旬は冬とされている。

 

また、タナゴ釣りは江戸時代には大名や大奥女官ら上流階級の高尚な趣味とされ、蒔絵などを施した典雅な釣竿が用いられた。タナゴ釣りの釣り餌にはイラガの繭の中で越冬している前蛹が「玉虫」と呼ばれて珍重され、これの頭部を切断して切り口から体内組織を微細な釣り針に引っ掛けて少しずつ引き出し、丸く絡めて用いた。

 

タナゴ類の方言はニガブナ(日本各地)、ボテ(琵琶湖周辺)、ベンチョコ(福岡県)、シュブタ(筑後川流域)などがある。「ニガブナ(苦鮒)」という呼称は佃煮などで食べると苦味があることに由来する。これはタナゴの英名”Bitterling”(苦い小魚)にも共通する。

 

しかし高度経済成長期以降は圃場整備、ブラックバスやブルーギルなど肉食性淡水魚の移入、農薬使用量の増加など、タナゴを取り巻く環境が大きく変化した。それまではわりと身近だったタナゴ類も、産卵床となる二枚貝類や他の小魚と共に次々に生息地を追われた。さらに鮮やかな婚姻色から鑑賞魚としても注目を浴び、希少価値も相まって各地でタナゴ類の乱獲が起こるようになった。

 

ミヤコタナゴとイタセンパラは1974年に種指定の天然記念物に指定され、採捕や飼育は禁止されている。他にも環境省レッドリストで以下の種類が絶滅危惧種としてリストアップされ、各地で保護活動が行われている。

  • 絶滅危惧IA類(CR) – ミヤコタナゴ、イタセンパラ、ニッポンバラタナゴ、スイゲンゼニタナゴ
  • 絶滅危惧IB類(EN) – ゼニタナゴ、イチモンジタナゴ
  • 絶滅危惧II類(VU) – カゼトゲタナゴ、セボシタビラ
  • 準絶滅危惧(NT) – タナゴ
  • 絶滅のおそれのある地域個体群(LP) – 山陰地方のアカヒレタビラ

その一方、中国から移入したオオタナゴやタイリクバラタナゴは日本国内で分布を広げている。特にタイリクバラタナゴは日本在来種のニッポンバラタナゴと交雑して遺伝子汚染を起こし、問題となっている。他の種類でも、イチモンジタナゴがアユなど有用魚類の放流に伴って分布を広げた例が報告されている。